第92回アカデミー賞の脚色賞を受賞したジョジョ・ラビット。
映画の舞台は第二次世界大戦下のナチスドイツ。
それがまさかのコメディ映画!?
脳内に潜むヒトラー少年が、ひょんなことからユダヤ人少女をかくまうことことになるストーリーです。
今回も、もう一度観たくなるような映画考察を紹介していきます。
※ネタバレありです
タイトルの「ジョジョ・ラビット」に隠されたメッセージ
主人公のジョジョは、「ウサギを殺せ」と言われた時に、殺すことができず、逃がそうとした原因で「ジョジョ・ラビット」と呼ばれることになる。
臆病者を示すラビットだが、この「ウサギを逃す」という行動は、物語ラストの伏線になっている。
というのも、ジョジョには「ユダヤ人というウサギを逃す役割」があるからだ。
兵士が訓練でユダヤ人の代わりに使ったのもウサギで、ジョジョが書いていた本の中の絵は「檻に閉じ込められたウサギと鍵を持つ少年」だった。
檻に閉じ込められたウサギとは、エルサのことであり、やはりここでもユダヤ人=ウサギの一致が観られる。
ウサギの檻の鍵を持つ少年はもちろんジョジョであり、ラストシーンではウサギを檻から逃すように、屋根裏部屋からエルサを解放してあげる。
最初にウサギを殺さなかった優しさは、ユダヤ人を殺さない優しさを示していた。
片目が言えないキャプテンk
物語の主要人物として、男気溢れるキャプテンkの存在がある。
彼は戦場で片目の視力を失ったが、この片目が見えないキャプテンが実は現実を見ることができ、両眼がある人よりも「盲目的にナチを信じていない」というのは面白い。
そして、彼はゲイであることが示唆される。
ゲイとしてマイノリティーである彼だからこそ、ユダヤ人の気持ちも理解することができ、エルサが誕生日を間違えた際も、庇うことができたのだろう。
ユダヤ人の立場になるジョジョ
ジョジョは最初、盲目的なナチとして描かれるが、物語終盤でユダヤ人の立場に置かれてから、ナチズムに屈しなくなる。
彼は戦場に出た際、戦う人たちを見てただ唖然としていた(シンドラーのリストの子供を彷沸させる)。
そんな彼は戦場で追われアメリカ人から逃れるため、家の陰に隠れるシーンが描かれる。
ここでドイツ人に追われるユダヤ人の立場を体験する彼は、uglyでdeformedな見た目の迫害もあって、ユダヤ人の立場をジョジョに理解していく(ジョジョだけに。笑)
最終的にキャプテンに「こいつはユダヤ人だ」と嘘をつかせ助けてもらったが、ここでジョジョがユダヤ人になる立場の逆転は完成する。
だからこそ、彼は心の中のヒトラーを追い払うことができたのだ。
愛の象徴の蝶々
ロージー(母)は、ジョジョの靴紐を蝶結びにしてあげる。
これは母からの愛を象徴していて、この映画では愛=蝶々とも呼ばれる。
ロージーは「人は恋するとお腹に蝶々がいるみたいになる」と言い。実際に広場で蝶々を追いかけると「最愛」の母の死体に出会う。
ここでも「愛と蝶々の一致」が見られる。
その時に靴紐を結んであげることはできないが、一番最後のシーンでジョジョがエルサの靴紐を蝶々結びにしてあげるのは、彼のエルサへの愛を象徴しているのかも知れない。