MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のシリーズ第一弾として人気の火付け役となった映画「アイアンマン」
今や大人気となった本作品だが、作品制作にはかつてない苦労と困難があったという。
アメリカではヒーローの象徴とも呼べる「アイアンマン」の裏話をまるっと紹介していく。
その前に、まずはあらすじから解説していこう。
『アイアンマン』のあらすじ
「アイアンマン」は「パワードスーツ」と呼ばれる最新技術が搭載された服を主人公であるトニー・スタークが着用した姿だ。
トニーはアフガニスタンで自社兵器のデモ実験に参加したが、テロ組織に襲われ拉致されてしまう。
戦場の中、胸に深い傷を負い、捕虜とされたトニーはその場で生き延びる交換条件として、最強武器の開発を強制される。トニーはそこで圧倒的な力を持つパワードスーツを開発。敵を一網打尽にして、逃亡を果たす。一方その頃、トニー自らが社長を務める会社に異変が生じていた。
実は自社製品がトニーには無断で、テロ組織の武器として使用されていたのだ。呆然とするトニー。
覚悟を決めたトニーはパワードスーツを着用し、ある場所へと向かう。
アイアンマンに変身した彼は、テロ撲滅に精神を注いでいくのだ……!
スタッフ
監督・製作総指揮:ジョン・ファヴロー
脚本:マーク・ファーガス/ホーク・オストビー/アート・マーカム/マット・ホロウェイ
製作:アヴィ・アラド/ケヴィン・フェイグ
キャスト
トニー・スターク:ロバート・ダウニーJR.
ジェームズ”ローディ”ローズ:テレンス・ハワード
オバティア・ステイン:ジェフ・ブリッジス
トニー・スターク役 ロバート・ダウニー・Jr
映画「アイアンマン」の主人公であるトニー・スターク役を、ロバート・ダウニー・Jrが演じた。
トニー・スタークを演じるロバート・ダウニー・Jrは適役だ。
代任は想像がつかない。
だが、実はトニー・スターク役には、ロバート・ダウニー・Jr以外にも大物スターたちの名前が、本作の候補者として挙がっていた。
その候補者とは、トム・クルーズやニコラス・ケイジ、ヒュー・ジャックマンなど。
有名な大物俳優だらけだ。
またロバート・ダウニー・Jrは、「アイアンマン」のキャストに採用されない見込みだったのだ。
理由はドラッグ問題にある。ロバート・ダウニー・Jrはテレビドラマ『アリー my Love』のシーズン中にコカイン所持で逮捕された経歴を持つ。
その結果、番組を途中降板した過去がキャリアに傷をつけている。
当初、制作スタジオ側は、ロバート・ダウニー・Jrに対して「どんなことがあっても、彼を雇うことはない!」と明言していた。
ロバート・ダウニー・Jrの経歴
5歳の時に父のロバート・ダウニー監督作で映画デビューを果たす。
高校中退後、1987年の「ピックアップ・アーチスト」で映画初主演を務める。92年の「チャーリー」ではアカデミー主演男優賞に初ノミネートを果たした。
人気テレビドラマ「アリー・myラブ」(00~01)で主人公の恋人役が好評を博している最中に、薬物トラブルが発覚する。本作品は降板となり、俳優業を活動停止になる。
03年薬物依存に克服して俳優業に復帰。08年、「アイアンマン」で主演に抜擢され、大ヒット。
コメディ「トロピック・サンダー 史上最低の作戦」ではアカデミー助演男優賞にノミネートされ、完全復活を印象づけた。10年「シャーロック・ホームズ」から始める名探偵ホームズシリーズも大当たり。快進撃は続いている。
ロバート・ダウニー・Jrが『アイアンマン』の主役に選ばれた本当の理由
「アイアンマン」の制作陣は何人かの候補者に絞った後、「スクリーンテスト(オーディション)」を行った。
制作陣側はロバート・ダウニー・Jrの起用にあまり乗り気ではなかった。薬物問題が原因だ。ただ監督のジョン・ファヴローのみがロバート・ダウニー・Jrを起用することに前向きだった。
スクリーンテストが進むにつれ、ロバート・ダウニー・Jrの演技力に皆が魅了されていく。
圧巻だった。最終的には制作陣側のスタッフもみんなロバート・ダウニー・Jrを推し始めたのは実力があったからこそだろう。
見事、ロバート・ダウニー・Jrは圧倒的な演技力でスクリーンテストを勝ち抜いて、トニー・スターク役に選ばれた。以下が、スクリーンテストについて感想を語っている様子だ。
What's the number of love you would give for Robert Downey Jr's decade-long performance as #IronMan? Watch his audition tape before he landed the iconic role! #AvengersEndgame can be pre-ordered to own now! Available July 30 on digital via FandangoNOW: https://t.co/PXAquXLuFa pic.twitter.com/eBoGC3szuy
— Fandango (@Fandango) July 16, 2019
ロバート・ダウニー・Jr本人は、当時のスクリーンテストについて「信じられないほどの高揚感だったよ。大きな競技場で戦う前の選手のような気分だ。気絶するか大成功するかどっちかさ」と話している。
ロバート・ダウニー・Jrとトニー・スタークの共通点
ロバート・ダウニー・Jrが主役に抜擢された理由は、実は他にもあった。
コミックに登場する「トニー・スターク」は、アルコール中毒に悩んでいるという設定だったのだ。
そこにはロバート・ダウニー・Jrとトニー・スタークの共通点があった。
本作の監督を勤めたジョン・ファヴローは、トニー・スタークと似た過去を歩んだロバート・ダウニー・Jrこそ主役に相応しい、と当初から考えていたのかもしれない。
ロバート・ダウニー・Jrはキャリアが長い。演技が上手く、アイアンマンの世界にもしっかりと溶け込んだ。
何よりコミックからのファンにもすんなりと受け入れられたのだ。結果、本作は大ヒットを達成した。
『アイアンマン』はアドリブだらけ
映画やドラマなどの撮影では、制作側が作った脚本を先渡しするのが通常だ。役者が前もって台詞を読みこんでから、撮影を始めるものだ。
だが「アイアンマン」は違う。
ストーリーに即した動きやプロットの中身にこだわるあまり、「アイアンマン」の撮影が開始された時点で、脚本が完全に仕上がっていなかった。
ただ製作チームは、各シーンに必要な要素を十全に理解していた。だからこそ、キャストには自由に遊ばせたのだった。本作におけるキャラクターのセリフがほぼ全てアドリブだ、という噂も立つ本作品の秘密がここにある。
アイアンマンことトニー・スタークを演じたロバート・ダウニー・Jrは、「I am Iron Man(私がアイアンマンだ)」と終盤に名言を繰り出している。あれも実は即興だ。
俳優陣の自然な演技に注目して鑑賞してみると、『アイアンマン』をより楽しめるに違いない。
アイアンマンのスーツはどれくらい?
トニー・スタークが本作で開発したアイアンマンのスーツ。
現代の技術で再現可能であるのか。また制作費はいくら掛かるのか。ワクワクな議論は続いている。
実際に撮影現場で使用されたアイアンマンスーツの重さは、40㎏を超えていた。
アイアンマンスーツを着用しての撮影に対し、ロバート・ダウニー・Jrは「あれを付けて演技をすると2時間くらいで精も根も尽き果てる。”もう十分、スタントマンの出番だ”と言いたくなってしまうんだ」と語っている。
ちなみに作品内でトニー・スターク用のアイアンマンスーツをつくるために、約16億ドル(1700億円)ものコストをかけた。アイアンマンスーツのスケール規模が、それだけで伺いしれるだろう。
『アイアンマン』まとめ
ロバート・ダウニー・Jrは、映画「アイアンマン」を転機にして一気に役者のスター街道に返り咲いた。アイアンマンは大人気シリーズMCUの第一作であり、コミックファンからの人気も根強い。
ヒーロー作品において屈指の名作であり、鑑賞すべき映画作品の一つだ。
本作から、MCUの世界が開かれていくのだ。