2021年9月23日に公開の映画「空白」についての解説です。
主演は古田新太と松坂桃李が務めています。
映画『空白』は実話だと言われていますが、それは本当なのでしょうか?
また、映画の原作やあらすじ、キャストについて調査してみました。
『空白』あらすじ
女子中学生の花音は学校では先生に怒られて、友達がいません。
離婚した母親の松本翔子から携帯電話を貰いましたが、父親の添田充に見つかり捨てられてしまいます。
充と花音は家でもほとんど会話がなく、怒りっぽい性格の充に怯えた毎日を送っていました。
そんなある日、花音は学校の帰宅途中にスーパーでマニキュアを手に取ります。
不審な動きの花音を店長である青柳が見つけ、花音の右手を掴んでバックヤードに連れて行きます。
スーパーから走り去る花音を追う青柳。
花音は逃げようと道路を横切りますが、通り過ぎた車に轢かれてしまい、さらにその後ろからトラックにも轢かれてしまいます。
娘を失った充は、店長の青柳を責め立てます。
青柳は花音が万引きをしていたから追いかけただけで問題はないとマスコミに返答をして、さらに状況は悪化してしまいます。
納得がいかない充は、学校側にいじめの可能性を訴えます。
連日のようにニュースで取り上げるマスコミは、青柳の謝罪の言葉さえも歪めて放送をして面白おかしく書き立てます。
次第に、スーパーの客足は減り、閉店へと追いやられれしまいます。
店員の草加部は、「スーパーは被害者だ」として執拗に添田を追い詰めていきます。
果たして、一体誰が被害者で誰が加害者なのでしょうか。
『空白』の監督・キャスト
映画『空白』の監督・キャストについてみていきましょう。
監督:吉田恵輔
監督は、吉田恵輔です。
2006年に「なま夏」で監督デビューをします。
その後、「机のなかみ」や「さんかく」などの原作・脚本・編集を務めました。
代表作品としては、2018年に公開の「愛しのアイリーン」や2021年に公開の「BLUE/ブルー」などを挙げることができます。
添田充役 古田新太
添田を演じるのは、俳優の古田新太です。
劇団「☆新感線」の看板役者です。
劇団俳優として活躍をする傍ら、1999年に公開の「極道の妻たち」シリーズでスクリーンデビューをしました。
2003年に放送の「ぼくの魔法使い」で第37回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で助演男優賞を受賞しています。
代表作品としては、2013年に放送のNHKドラマ「あまちゃん」や2019年に放送の「俺のスカート、どこ行った?」や2020年に公開の「脳天パラダイス」などを挙げることができます。
青柳直人役 松坂桃李
青柳を演じるのは、俳優の松坂桃李です。
2008年に「チャレンジFBモデル2008オーディション」でグランプリを受賞して芸能界入りを果たします。
2009年にドラマ「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビューをします。
2011年には映画「アントキノイノチ」や「僕たちは世界を変えることができない。」に出演をして第85回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、第33回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞して一躍有名になりました。
翌年には、NHKドラマ「梅ちゃん先生」や映画「ツナグ」に出演して、、第36回日本アカデミー賞の新人俳優賞など数多くの賞を受賞しました。
日本を代表する売れっ子俳優と言えますね。
松本翔子役 田畑智子
松本翔子を演じるのは、女優の田畑智子です。
1993年に映画「お引越し」で女優デビューをします。
ブレイクのきっかけは、2004年に公開の「血と骨」に出演をしたことでした。この映画で第28回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞します。
代表作品としては、2012年に公開の「ふがいない僕は空を見た」や2015年に公開の「ソロモンの偽証」などを挙げることができます。
花音役 伊東蒼
花音を演じるのは、女優の伊東蒼です。
2011年にドラマ「アントキノイノチ〜プロローグ〜 天国への引越し屋」に子役としてデビューをしました。
ブレイクのきっかけは、2016年に公開の「湯を沸かすほどの熱い愛」に出演をしたことでした。この映画で第31回高崎映画祭で最優秀新人女優賞を受賞します。
翌年には映画「島々清しゃ」で第72回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞します。
代表作品としては、2013年に公開の「貞子3D2」や2018年に公開の「ギャングース」などを挙げることができます。
野木龍馬役 藤原季節
野木を演じるのは、俳優の藤原季節です。
2014年に映画「人狼ゲーム ビーストサイド」で俳優デビューをします。
ブレイクのきっかけは、2020年に公開の「佐々木、イン、マイマイン」に出演をしたことでした。
この映画で第42回ヨコ ハマ映画祭最優秀新人賞を受賞しています。
代表作品としては、2018年に公開の「止められるか、俺たち」や2021年に公開の「のさりの島」などを挙げることができます。
草加部麻子役 寺島しのぶ
草加部を演じるのは、女優の寺島しのぶです。
1992年に劇団「文学座」に入団して舞台女優として活動を始めます。
その後、2000年に映画「シベリア超特急2」でスクリーンデビューをしました。
ブレイクのきっかけは、2003年に公開の「赤目四十八瀧心中未遂」「ヴァイブレータ」に出演をしたことでした。この映画で日本国内外で10以上の映画賞を受賞し一躍有名になります。
代表作品としては、2018年に公開の「OH LUCY!」や2021年に公開の「ヤクザと家族 The Family」などを挙げることができます。
『空白』の注目ポイント
映画『空白』の注目ポイントやネット上の感想についてみていきましょう。
『空白』物語は実話?
映画「空白」は実話という噂がありますが、実話ではありません。
しかし、吉田恵輔監督はインタビューで「20年ぐらい前にニュースで、古本屋で万引きした中学生が逃げて、電車にはねられ死亡した事件がずっと心の中に引っかかっていた」と語っています。
さらに、吉田恵輔監督が相方として慕っていた脚本家の仁志原了が、2016年9月に大動脈解離で倒れられて亡くなり大切な人が突然居なくなる空虚感が映画を作るきっかけだったそうです。
脚本家の仁志原了は、2006年の「メリちん」や「机のなかみ」などで共同で脚本を務めるほどの公私ともに仲が良かったのです。
相方の死と実際に起こった事件が映画を製作するきっかけだったのですね。
『空白』の原作は?
映画「空白」の原作はありません。
吉田恵輔監督の完全オリジナル作品です。
そのため、主演の古田新太は「キャスト、監督と作り上げていくので演じやすかった」と明かしています。
古田新太は原作があると原作に忠実に演じようと思い自分のオリジナル感を出せないのだそう。
本作は、吉田恵輔監督のオリジナル作品のためストレートに添田という人物を等身大として演じられたそうですよ。
タイトル『空白』の意味とは?
映画では、様々な「空白」が描かれていますが、一番印象的なのはバックヤードで何が起きたのかを観客に見せないということです。
本当に花音が万引きしたのか分からない。
誰にも感情移入ができる一方で、誰も信じられないという一面も。
不寛容が映画のテーマとなっています。
不寛容とは、人の言動を受け入れないこと。人の罪や欠点を咎めたりすること。
偏見や差別を指します。
例えば、ボランティア精神に溢れる草加部という人物は、良いと思って青柳や添田に対して叱責をして必要なまでに追い詰めます。
しかし、草加部は悪気は全くなくそれが正義だと思って行動をしているのです。
まさに、不寛容さが招いた悲劇と言えます。
また、加害者である青柳もバックヤードで一体何が起きたのか、という視点で映画を観ていると冒頭では花音の父親に怒鳴られ、土下座して謝罪する青柳に同情します。
しかし、青柳の過去が明らかになると一転して、本当に悪い人物なのではないか?と思ってしまいます。
このように見る人によっていろいろな見方ができる作品と言えます。
ネット上の感想
ネット上の感想についてみていきましょう。
何度も言うが『空白』凄い傑作だ❗日本映画をダメにした過剰なセンチメンタリズムをとことん排した演出が素晴らしい‼️また、役者が役の人としてそこにいるという感覚が素晴らしい‼️つくづく役者を生かすも殺すも脚本と監督次第だなと思う。その好例。 pic.twitter.com/a3q27oaOvG
— 池島ゆたか (@0an4d013325195k) October 19, 2021
『空白』
いずれの立場も苦しく日々生きた心地がしないだろうと想像する。事故関係者それぞれの気持ちに共感し、一方女性店員の行動は痛すぎる等人物像の描き方が凄い。
善悪や何が正解なのか考えても分からなかったけど、答えは…。
この作品は、考えさせられしばらく記憶に残ると思う。 pic.twitter.com/1POLtjBZGN— Trish (@kamomejyanai) October 20, 2021
ネット上でも凄い傑作だと高評価を得ていました。
『空白』まとめ
2021年9月23日に公開の映画「空白」のあらすじ、キャストについて調査してみました。
主演を務めるのは、実写で初共演となる古田新太と松坂桃李です。
また、監督は吉田恵輔がメガホンを取りました。
作品は、完全オリジナルで原作はありません。
実話という噂は浮上していますが、映画の基になる実話もありません。
ただ、吉田恵輔監督が作品を作るうえで、20年前の万引き事件や相方だった脚本家の仁志原了の死が関係をしていると明かしていました。
ネット上では、高評価を得ていました。
©︎2021「空白」製作委員会